考察特集。

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『グラン・トリノ』 - ギャングに立ち向かったウォルトの心持

※映画「グラン・トリノ」の考察記事です。まだグラン・トリノを観ていない場合は記事を閉じて、まず動画配信サービスやレンタルショップを利用して作品を鑑賞してください。

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グラン・トリノ』は2008年に公開されたクリントイーストウッド監督の映画。この映画で最も印象的なのは、丸腰で出向いたウォルトがギャングに撃たれて命を落とすシーンだろう。

朝鮮出兵の経験があるウォルトだ。計画を練ったうえで武装していれば、ギャングの命を奪うこともできたはず。

しかし、彼は丸腰で向かった。

この記事では、ウォルトがどのような心持でギャングに立ち向かったのかを考察する。

 

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吟遊詩人「山田庵巳」が紡ぐ幻想的な物語-機械仕掛乃宇宙

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山田庵巳は現代の吟遊詩人。

彼を知る人であれば、これに違和感を持つことはないだろう。実際、彼自身も自分のライブで吟遊詩人だと名乗っている。

山田庵巳の最大の魅力は、演奏スタイルの自由さにある。

「Aメロの次はBメロが来て、そこからサビに展開して……」のような固定概念にとらわれず、吟遊詩人さながらの方法で物語を展開させていく。メロディやコード感、詞の世界感といったものだけではなく、曲中に語りを入れて物語にふくらみを持たせるのだ。

 

吟遊詩人”山田庵巳”が紡ぐ幻想的な物語、「機械仕掛乃宇宙」について考察しよう。

 

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「音楽による瞬間の可視化」− 君島大空の描く情景。

2019年に発表された「午後の反射光」や、フジテレビの音楽番組「Love music」のオープニング曲として採用された「火傷に雨」。シンガーソングライターとしての君島大空が世に認知されるキッカケとなった作品だ。

 

君島大空の作品に触れると、ある情景が浮かんでくる。どこかで見たことがあるような場所、いつか感じたことがあったような想い、これらが楽曲を通してにじみ出てくる。

 

 君島大空が描いたものから見える情景を紐解く。

 

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夏を感じさせる曲が見せる表情【夏曲考察特集。】

一年の1大イベントとも言える、夏。音楽の曲にも、夏をテーマにした作品が多く存在する。

 

しかし、テーマは同じでも、曲中での夏の取り上げ方は作品ごとで変わる。それは、夏という季節に様々な表情があるからだろう。

 

今回は、「夏を感じさせる曲が見せる表情」について、考察してみようと思う。

 

  • ”夏がゆえの不自由さ”スーパーカー「cream soda」
  • ”気づいたら俺はなんとなく夏だった”NUMBER GIRL「透明少女」
  • ”夏の夜風に薫る風景”GLIM SPANKY「夜風の街」
  • ”抽象的な詞、浮遊感のあるサウンドから見える夏” Spangle Call Lilli Line「nano」

 

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ミュージシャンが見ていた“東京”の違い〜バンド編~

現代に至るまで、数多のミュージシャンたちが、「東京」という名の曲をリリースしている。それらは同じタイトルでありながらも、時期や季節、流行などの様々な要因により、中身が全く異なる作品となっている。

 

そこで今回は、複数のミュージシャンの「東京」を取り上げたうえで、「彼らが見ていた”東京”の違いは?」について考察してみようと思う。

  • くるりの”東京”は手段であり障壁
  • きのこ帝国の”東京”は決別の場所
  • 踊ってばかりの国の”東京”はディストピアの地
  • plentyの”東京”は孤独で窮屈な行き場のない理想
  • バンドによってそれぞれの”東京”への想いがある

 

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